| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-435 (Poster presentation)
海洋酸性化は、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することで、海水中の二酸化炭素分圧(pCO2)が増加する現象である。海洋酸性化の進行に伴い、石灰化生物の石灰化が抑制されるなど、海洋生物の生活史の維持に悪影響が生じることが知られている。しかし海洋酸性化が細菌類などの微生物に及ぼす影響や、それに伴う種間相互作用の変化に関しては不明な点が多い。そこで我々は、国内2ヶ所(沖縄県本部町瀬底、新潟県柏崎市荒浜)の臨海実験施設の屋外水槽にて、CO2制御装置を設置し、5段階のpCO2条件で定着板を約6ヶ月間静置することで、生物の加入の変化を評価した。また、黒帯病(Black Band Disease:BBD)に羅患したエダコモンサンゴのサンゴ片を、瀬底研究施設の3段階のpCO2のCO2制御水槽内に5日間静置し、細菌叢の変化を追跡した。定着板及びサンゴ片からDNAを抽出し、細菌類の16SrRNA領域を対象に、メタバーコーディング解析を行なった。解析の結果、国内2ヶ所で細菌叢組成が顕著に異なる傾向が見られたが、pCO2条件間では、細菌叢組成に明確な差は見られなかった。これらの結果を踏まえ、海洋酸性化に対する細菌叢の環境応答の概要について報告する。