| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-454 (Poster presentation)
日本では河川改修や新田開発などにより、氾濫原湿地が著しく減少した。そのため現在では、水田が、かつて氾濫原湿地に生息していた生物の、代替生息地として機能していると考えられている。ところが日本の水田面積の大半を占める慣行栽培水田では、除草剤を使用してイネ以外の植物の現存量を著しく低く抑えているため、イネ株間が解放水域化している。この状況は、かつての氾濫源湿地の様相のうちで、植物現存量が低い状態を、過大に再現していると言えよう。一方、石川県羽咋市の自然栽培(無農薬・無肥料栽培)水田では、コナギやオモダカなどの水田植物が、イネ株間を埋め尽くすように増加する。そこで羽咋市の自然栽培水田と慣行栽培水田において、微小甲殻類組成を比較したところ、水生植物の表面を付着基質として利用するシカクミジンコ類が、自然栽培水田で増加することがわかった。従って自然栽培水田は、かつて「草ぼうぼう」だった氾濫源湿地に出現していた表在性シカクミジンコ類の、貴重な代替生息地であると考えられた。