| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-464 (Poster presentation)
近年、全国各地でツキノワグマの出没が相次いでおり社会的な問題となっている。この背景としてツキノワグマの分布拡大および個体数の増加が考えられるが、駆除に頼った管理では地域的な絶滅を引き起こす可能性もある。そのため、各自治体では保護管理計画を策定し年ごとの駆除数の上限を定めたりしている。しかし、都府県境はツキノワグマの移動・分散を妨げることがなく、個体数管理をする上で自治体を管理単位とするのは不適切である。環境省は2010年に発行した特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編)において18の保護管理ユニットを提案しているが、分布状況や地形などを考慮してデザインされているため、ツキノワグマの個体群構造を反映しているとは言いがたい。そこで、ツキノワグマの分布域が連続している京都府以東の個体群から1270頭分の遺伝サンプルを収集し、マイクロサテライトDNA領域16遺伝子座を解析し、3つのベイジアンクラスタリングソフト(STRUCTURE、BAPS、Geneland)を用いてツキノワグマの広域的な遺伝構造を明らかにした。この結果に基づくクラスタリングと環境省(2010)で提案されている保護管理ユニットを比較し、適切な保護管理ユニットを検討する。