| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-466  (Poster presentation)

都市緑地におけるトカゲ類の分布に影響を及ぼす要因
Factors affecting the distribution of lizards in urban green spaces

*吉田智弘, 内山皓介(東京農工大学)
*Tomohiro Yoshida, Kousuke Uchiyama(Tokyo Univ. Agr. Tech.)

都市域においてトカゲ類は地表付近の高次捕食者であり、不快昆虫の抑制に有益であると言われている。しかしながら、都市のトカゲ類は個体数が減少しており、東京都ではヒガシニホントカゲ、ニホンカナヘビがともに都市中心部(23区内)での絶滅が懸念されている。そこで本研究では、東京都内の都市緑地においてトカゲ類の分布や行動に影響を及ぼす環境要因を明らかにすることを目的とした。
JR東京駅(都市中心)からJR高尾駅(郊外)までのJR中央線沿線区間において、各駅から1.5 km以内の都市緑地90か所を調査地点とした。各調査地点の外縁から100 m以内の緑地を「周辺緑地」と定義した。各調査地点において3回調査を実施した(2017年5~7月、8~9月、9~10月)。各調査地点の最も外側の園路もしくは最も外側を一周し、トカゲ類の確認地点、種、個体数、発育段階(幼体、成体)を目視で判別した。また、トカゲ類が逃避するまでの接近可能距離を計測した。環境要因として、各調査地点の都市中心からの直線距離、調査地点面積、周辺緑地数を記録した。
全調査期間を通じて、ヒガシニホントカゲ延べ77個体、ニホンカナヘビ延べ50個体の合計127個体が確認された。解析の結果、周辺緑地数がトカゲ類の分布に影響すること、都市中心へ向かうほどトカゲ類の生息地点数が減少することが示された。また、都市中心に向かうに従い面積が小さい地点での生息は確認できなくなった。さらに、ヒガシニホントカゲは都市中心へ向かうほど接近可能距離が減少しており、都市部では人間による連続的な刺激に対応し、馴化している可能性が示された。


日本生態学会