| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-03  (Poster presentation)

形状に多様性を持つ植物の気孔について
Variation in Shapes of Stomata

*古谷優樹(YSFH)
*Yuki Kotani(YSFH)

寄生植物とは、植物の大きな特徴である光合成を捨て、他の植物から栄養をもらうことで生きることを選択した植物である。クスノキ科のスナヅルは、葉や根を退化させそのつる状の茎でほかの植物に巻き付き栄養を奪う。分布や、個体に含まれるアルカロイドのカッシフィリンなどについて調べられているが、寄生植物に共通している特徴である吸器が研究されることは少ない。スナヅルが寄生した植物(以下宿主と呼ぶ)は寄生されていない同種の植物に比べ蒸散量が少ない事が分かっており、収斂進化によって特徴が似ているネナシカズラと同じように、スナヅルの蒸散が栄養の吸収の駆動力になっていると考えられる。よって、気孔がスナヅルの成功に重要な役割を担っていると考え、調べることにした。
 スナヅルの気孔を見ると他の被子植物と比べても気孔の密度が大きく、規則正しく並んでいる。スナヅルの吸器は宿主の維管束へ食い込んでいる様子が観察された。吸器のできる場所を観察したところ偏りはなく、ほかの寄生植物と同じように宿主のいる方向に伸びることが分かった。規則正しく並んでいるということからは、一部分の密度が大きいわけではなく全体の密度が大きいことが分かる。スナヅルは、他の寄生植物に比べて茎が太く、種子が大きいので成長するためには栄養がたくさん必要である。よって、蒸散量を増やし、栄養分奪取の駆動力を大きくするために気孔の密度を大きくしていると考えられる


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