| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-35 (Poster presentation)
鱗翅目スズメガ科ホウジャク亜科には、ガでありながら昼行性の種が多く含まれている。それらの種は、ホバリングを行いながら吸蜜を行う。その中でも、オオスカシバなど、翅に透明な部分がある種(以下オオスカシバ型)は、ホバリング時、花に前脚を置くが、ホシホウジャクなど、翅に透明な部分が無い種(以下ホウジャク型)は、花に前脚を置かないことを発見した。本研究では、2型を比較し、どちらが高いホバリング能力をもつかを検証すること、また、ホバリング能力が高いとされる型は、どのような特徴によって能力の高さを得ているのかを明らかにすることを目標にした。ホウジャク亜科は、胴体を起こした体勢でホバリングを行うことから、その特徴を、ホバリングを行う航空機に応用することで、それらが風によって傾いた際、傾いた体勢のまま安定を保ち、墜落を防ぐための技術の発展が期待できると考えている。
2型のホバリング飛行を撮影した。羽ばたく回数を比較したところ、2つの型に大きな違いは見られなかった。1/120秒間のブレの大きさを求め、比較したところ、オオスカシバ型の方が胴体のブレが小さくなったことから、花に前脚を置くことは、胴体のブレを抑える効果があると考えた。また、給餌用シリンジにやすりがけをしないと、オオスカシバが前脚を置かずにホバリングを行う様子を撮影できる。前脚を置かないと、通常時よりも胴体のブレが大きくなったことから、花に前脚を置くことは、胴体のブレを抑える効果があることが確認できた。ハチドリは、尾羽を折り曲げ、くの字の体勢をとることで、羽ばたきによって起こる風を受け止めている。ホウジャク型は、ホバリング時に腹部を折り曲げることでくの字の体勢をつくるが、オオスカシバ型は、腹部先端の尾毛を膨らませることで、腹部を折り曲げることなくくの字の体勢をつくっていた。オオスカシバの尾毛には風を受け止める効果があると考えられる。