| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-37  (Poster presentation)

ポートアイランド南公園におけるアルゼンチンアリ駆除方法の考察
Discussion on how to control Argentine ant in Minami Park in Port-island

*大河内徳人(神戸大学附属中等)
*Tokuhito Okochi(Kobe Univ. Secondary)

 本研究では、ポートアイランドに生息するアルゼンチンアリ(Linepithema humile)と在来アリの分布を調査するとともに、アルゼンチンアリの最適な防除方法を提案した。
このアルゼンチンアリは、現在日本のみならず世界中で侵入が確認されており、この侵入に伴って在来アリの種多様性が著しく損なわれたり、またアルゼンチンアリの大群が人の気分を損なうのみならず、まれに電子機器の故障の原因となったりなどの被害がもたらされている。そのため現在アルゼンチンアリの駆除方法について様々な研究が行われているものの、いまだアルゼンチンアリの駆除に結びついたものはない。
まず、南公園におけるアルゼンチンアリおよび在来種のアリがどのように生息しているかを実地調査した。その結果、園内西側にはアルゼンチンアリがたくさん生息しており、在来種はほとんど確認されなかった。一方で、東側にはアルゼンチンアリが侵入しておらず、在来種が確認された。これは西側には木陰がたくさんあるが、東側にはほとんどないことから生じたアルゼンチンアリと在来種の棲み分けであると示唆された。なお、この発見は本研究が初めてであるとともに、今後の研究では棲み分けが起こる要因を解明したい。
次に、現在知られている防除方法を、実地調査の結果とその際に行った園内の観察からわかった南公園の現状に照らし合わせて、どのようにして南公園にアルゼンチンアリ防除を施すかを考察した。その結果、園内東側に対してはアルゼンチンアリの餌になるものの撤去の為に清掃と公園の使用マナーの呼びかけを徹底化し、西側ではベイト剤による駆除とともに合成道しるべフェロモンと毒餌による生態駆除を行い、また公園の外から新たな個体が侵入しないように合成道しるべフェロモンを散布することが最適と考えられた。しかし、この考察は実際に南公園においておこなった実験には基づいていないため、今後の研究では実際に実験する必要がある。


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