| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-63 (Poster presentation)
本校はニホンジカの生息頭数が多いとされる、岐阜県の西部に位置する南宮山の山麓に立地している。南宮山は近隣の山々と隔絶され、大型哺乳類が行き来しにくい独特な環境となっている。そのため、南宮山はニホンジカの密度管理を行うモデル地区にとして最適な環境であると言える。ニホンジカの密度管理の指標を検討するために、本研究では胃内容物調査とGPS首輪と赤外線センサーカメラによる行動調査を行った。捕獲されたニホンジカの胃内容物調査では、垂井町北部に比べ南宮山周辺のニホンジカは栄養状態が良いという結果が得られた。雌雄1頭ずつ、計2頭のニホンジカにGPS首輪を装着し、毎時間ごとの位置情報データを約1年にわたって取得した結果、薄明薄暮性と言われるニホンジカであるが、朝方や夕方の数時間後に300m以上の長距離移動をする割合が多くなっていた。また、市街地に出る時間帯や月別の移動距離平均の解析を行った。南宮山全域を覆うように1.1km四方のメッシュを作成し、各メッシュ1台の赤外線センサーカメラ(計14台)を設置した。場所ごとの撮影数の偏りと、採食による植生衰退度調査結果、有害鳥獣対策フェンスの有無を考慮し、考察を行った。