| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-75 (Poster presentation)
これまでに南日本に位置する九州北部(10港),九州本土南部(9港),大隅諸島(5港),トカラ列島(7港),奄美群島(7港),琉球諸島(17港)の6地域の合計55港で調査を実施し,合計4亜科25属63種のアリを確認した。この種数はこれまでに南日本全域で確認されている約200種のアリの約30%に相当する。その63種のうち,22種(34.9%)が主に熱帯・亜熱帯原産の外来アリであった。
港への出現頻度1位のクロヒメアリ(在来アリ)は55港のうち53港(96.4%)で出現し,著しく高い港への出現頻度を示した。港への出現頻度の高いアリは,外来アリの2位ケブカアメイロアリ(76.4%),3位オオシワアリ(61.8%)の2種が続き,以後外来アリが6位までを占めた。
全ハニ-ベイト(1650個)への出現頻度により推定した最優占種はクロヒメアリ(0.31)で,2位が在来アリのトビイロシワアリ(0.17),3位が外来アリのツヤオオズアリ(0.14)と続いた。以後7位まで外来アリが占めた。港及びハニ-ベイトへの出現頻度の高いクロヒメアリ,トビイロシワアリ,ケブカアメイロアリ,オオシワアリの4種は,この地域の港を代表するアリであると考えられる。
野村・シンプソン指数によって求めた種構成の類似度は,奄美群島-琉球諸島(0.85)で最も高く,九州北部-琉球諸島間(0.37)で最も低かった。
単純連結法によって南日本の6地域間のアリ相の関係をみると,九州北部からトカラ列島で1つのクラスターを形成し,奄美群島・琉球諸島との間で大きな違いがみられた。
これまで調査を行った6地域の港について,外来アリの平均の割合をみると,九州北部(11.1%),九州本土南部(39.7%),大隅諸島(29.1%),トカラ列島(50.6%),奄美群島(72.1%),琉球諸島(78.1%)と,南方ほど明らかに高くなる傾向がみられた。