| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-80  (Poster presentation)

魚の体色は身を守るのか
Does the fish's body color protect himself?

*吉澤梨桜, 山本莉里花, 中岡凜緒(大阪府立富田林中学校)
*Rio Yoshizawa, Ririka Yamamoto, Rio Nakaoka(Tondabayashi Jr.High)

保護色とはその生物が周囲から目立たなくする体色や模様のことで、外敵から食べられないようにするためなどの目的が考えられる。本研究は、魚類の場合、外敵から身を守るために、どのような仕組みを持っているのかを明らかにすることを目的に行った。
実験には、生きた二枚貝に産卵するという習性をもったタイリクバラタナゴを使って実験を行った。実験①は制御を明るい背景と暗い背景で肉眼で観察した。実験②は体色と鱗の関係を見るために、成魚の背面と腹面の鱗を採取し顕微鏡で観察した。実験③は、体が形成されるとき、どの段階で体色が備わるのか見るために、人工授精を行い、その後の発育の経過を観察した。実験④は周囲の色が体色変化に与える影響を見るために、黒、白、銀の箱に入れ、体色変化を観察した。
実験①では、背面が黒く、暗い背景で目立ちにくく、腹面は白く、明るい背景で目立ちにくかった。実験②では、鱗にある黒色色素胞は背面に多く、腹面にほとんどないことがわかった。実験③では、受精後40日で黒色色素胞が確認され、体色が黄色から黒色に変化した。実験④では、約5分で黒い箱では黒く、白と銀の箱では白くなった。鱗を検鏡したところ、黒い箱では色素胞が広がり、白と銀の箱では色素胞が縮んでいた。
背面は黒色色素胞が多く、暗い川底に目立ちにくく、鳥などの上方からの敵に見つかりにくく、また背面には黒色色素胞が少なく、明るい水面に目立ちにくく、魚食魚など下方からの敵に見つかりにくくなっていると考えられる。黄色い仔魚は二枚貝の中で守られ、貝の外へ出る受精後40日には黒くなるとわかった。周囲の色の変化には、5分程度で体色を変化させることができ、その仕組みは黒色色素胞の収縮によるものであることがわかった。
今後は、カエルなど他の生物で調べてみたい。


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