| 要旨トップ | ESJ72 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
シンポジウム S05 3月16日 9:00-12:00 Room G
自然生態系は単独では成立しえない。森や川、海といった異質な生態系は、その境界をまたぐ生物、生物遺骸、栄養塩の移動によってダイナミックにつながり、その中で生物の生活史、個体群動態、群集動態や物質循環が規定されているはずである。したがって、生物多様性や生態系の挙動を真に理解するためには、生態系を複数の生態系がつながるメタ生態系として捉える必要がある。
河川生態系は、森林と河川、支流-本流ネットワーク、河川と湖沼、河川と海洋、あるいはそのすべてといったように、極めて多様なつながりによって成立する、メタ生態系のモデルといえる。本シンポジウムでは、こうした河川生態系を舞台に、ゲノム解析や微量元素分析、様々な環境計測技術、そして大規模な野外操作実験を駆使して生態系のつながりの実態やその中での生物の動態についての研究事例を紹介する。シンポジウムを通して、河川生態系での研究の面白さを共有するとともに、メタ生態系の実証研究を推進する方法論や理論についても議論を深めたい。
[S05-1]
森林と河川のつながりが維持するサケ科魚類の降海多型
Forest–stream linkages contribute to maintaining migratory polymorphism in a salmonid population
[S05-2]
同位体解析×ゲノム解析で迫る降海性サケ科魚類の流域スケール個体群ダイナミクス
Unraveling watershed-scale population dynamics of an anadromous salmonid fish using integrated isotopic and genomic analyses
[S05-3]
本川-支川-農水路間のつながりの重要性~人為改変による水生生物多様性の劣化
Degradation of the connectivity between rivers, tributaries, and floodplain channels due to artificial alteration decrease the instream biodiversity
[S05-4]
河川における多様な地下地上の連続性
Diverse surface-subsurface connectivities in rivers
[S05-5]
ローカルスケールにおける河川の分断:遺伝子から群集レベルまでの生物多様性への影響
River fragmentation at the local scale: effects on biodiversity from the genetic- to community-level
[S05-6]
多様な魚の遡上が川の生態系を支える:回遊魚の「おしっこ」が川の生物の大切な栄養源
Sequential migrations of diverse fish community provide seasonally prolonged and stable nutrient inputs to a river
[S05-7]
多様な両側回遊性魚類が創出する海洋から河川への資源補償の季節動態
Seasonal dynamics of marine-derived material subsidy by diverse amphidromous fish species