| 要旨トップ | ESJ72 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
シンポジウム S10 3月17日 9:00-12:00 Room G
生物多様性保全は、生態学では元来「種多様性」から始まった。1990年代以降に生物多様性の提案以降、多様な生物多様性観というべき世界が広がりつつある。アグロエコロジーにおける農生物多様性もその一つであり、持続可能な農業あるいは里山保全の実行に深く関わっている(Muramoto, Hidaka & Mineta 2005)。水田の多面的機能直接支払い、生物認証や農業遺産、そして総合的有害生物管理(IPM)、みどりの食料システム戦略などが、地域地域の多様なステークホルダーによって繰り広げられている。その中でも、水田生物多様性研究を基礎とした田んぼ生きもの調査などは、私たち生態学者が参画しながら1980年代から繰り広げられてきた。そこでの市民、農民の参加行動型研究(Participatory Action Research)を行う場合に、常に問題になってきたのは「何をどこまで分類するの?」という現場の命題である。そこで今回は水田生態系を舞台に、PARを各地で進めてきた先駆的な生態学研究者が「多様性の何をどこまで分類したらよいのか?」についてを共通命題に、分類学的(基礎)、農学的(応用)、応用生態学的(基礎的)などの諸視点から、総合的かつ体系的なアグロエコロジカルな議論を行う。農業基本法改正、米ショックや大災害頻発化、環境汚染、外来種問題、そして衰退する里山における水田生態系をめぐる諸情勢の中で、アグロエコロジカルな参加行動型調査研究の在り方について問う。
コメンテーター:楠本良延(農研機構)・赤石大輔(大阪産業大)ほか予定
[S10-1]
参加行動型研究において、水田の農生物多様性の時・空間の何をどこまで分類する?
Classification in participatory action research on biodiversity in rice paddy : What and to what extent of agrobiodiversity in time and space ?
[S10-2]
市民参加行動型の水田生物多様性調査研究での試行錯誤 : 徳島県における事例
Trial and Error in Participatory Action Research of Biodiversity in Rice Fields: A Case Study of Tokushima Prefecture
[S10-3]
何をどこまで分類するのか? :モニタリングサイト1000里地調査のデータ活用事例から
英文(English): What to classify and to what extent? : Examples of data utilization from the Monitoring Sites 1000 SATOYAMA Survey.
[S10-4]
栃木県における多面的機能支払交付金による田んぼ生きもの調査の事例
Case study of the rice paddy biodiversity survey in Tochigi Prefecture, utilizing the Multifunctional Payment Grant
[S10-5]
田んぼの生きもの調査における分類群の幅広さと地域のニーズ
The breadth of taxonomical groups and regional needs in rice paddy biodiversity surveys
[S10-6]
珠洲市で取り組む持続可能な里山を考え行動する市民を増やすための生物多様性調査
Biodiversity survey to enhance activity of citizens in Suzu City who think about and act for the sustainable Satoyama