| 要旨トップ | ESJ72 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


シンポジウム S12  3月17日 14:00-17:00 Room B

タケササ一斉開花研究の現在地 Part 2:特に北海道での2023年一斉開花に注目して【O】
Current status of research on the large-scale bamboo flowering, Part 2: Highlighting the 2023 mass flowering event in Hokkaido【O】

小林慧人(森林総研関西), 富松裕(山形大学), 蒔田明史(秋田県立大学)
Keito KOBAYASHI(Kansai FFPRI), Hiroshi TOMIMATSU(Yamagata University), Akifumi MAKITA(Akita Prefectural University)

 タケ・ササ類は地下茎を伸ばして成長し、生涯に一度、広範囲で同調して一斉開花・結実した後に枯死する特異な生活史をもつと言われる。しかし、実際には一斉開花といってもその規模は様々であり、数年から数十年にわたり断続的に見られる場合もある。さらに、一斉開花の見られる地域にも開花しなかった個体群が見られるほか、毎年のように小規模で散発的な開花(小面積開花や部分開花)が生じることも知られている。こうした現象は特異的で目立つこともあり広く関心も持たれてきたが、開花現象を詳細に記述した例は多くない。
 今大会の開催地である北海道では、2022年から2023年にかけてクマイザサ(ササ属チマキザサ節)の仲間が大規模に一斉開花・結実し、枯死しつつある。この珍しい広域に及ぶ現象を前に、多くの研究者がさまざまなアプローチで調査を進めている。本集会では、昨年度の横浜大会で開催した集会に引き続いて、タケ・ササ類の一斉開花現象がどこまで明らかになったのかを概観したい。特に北海道での開花研究の取り組みをもとに、現地調査とリモートセンシングを用いた広域開花現象の記載法や、歴史資料の探索による過去の開花記録に基づくササ類の開花周期、さらには、開花遺伝子の発現に関する研究結果を報告する。こうした開花現象の実態に関する研究を共有し、コメンテーターも交え、今後の研究展望を探りたい。

[S12-1]
タケ・ササ類の広域一斉開花現象:現地踏査からわかってきたこと *小林慧人(森林総研関西)
The large-scale flowering phenomenon of bamboo species: Insights from field surveys *KEITO KOBAYASHI(FFPRI Kansai)

[S12-2]
宇宙から見たササの大規模同調開花・枯死ーー現地調査も添えてーー *笹川大河(筑波大学)
Satellite remote sensing for massive and synchronous flowering and dying-off of Sasa with field surveys *Taiga SASAGAWA(Tsukuba Univ.)

[S12-3]
歴史資料による過去の一斉開花の探索からササ類の開花周期を考える *岡本透(森林総研関西)
Searching for past synchronous flowering using historical data to consider the flowering cycle of dwarf bamboo species *Toru OKAMOTO(FFPRI Kansai)

[S12-4]
小面積開花におけるラメットの動態と開花関連遺伝子の発現量 *北村系子(森林総研北海道)
Flowering dynamics of ramets during sporadic flowering and its expression profile of flowering gene *Keiko KITAMURA(FFPRI Hokkaido)


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