| 要旨トップ | ESJ72 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
シンポジウム S15 3月18日 9:00-12:00 Room B
森林の林冠は,生態学における未踏のフロンティアのひとつとされる.ここは生物多様性のホットスポットであり,陸上・樹上生物と大気との間をつなぐ重要な生態系機能が集中する場である.林冠生態学は19世紀にその端を発したが,林冠へのアクセスの困難さからゆっくりと進展してきた.しかし,20世紀後半以降,技術の進歩により大きな発展を遂げ,林冠部の生態系の理解が大きく進んだ.それでもなお,林冠の生態系の全貌を理解するには,生物多様性や種ごとの適応戦略などをはじめとする多くの謎がまだ残されている.
私たちにとって地理的に身近な東アジアの熱帯・亜熱帯は,地球上でも屈指の生物多様性ホットスポットとして知られており,この地域の林冠生態学において,日本人研究者は数々の先駆的な貢献をしてきた.本シンポジウムでは,東アジアの熱帯・亜熱帯を舞台に展開されている林冠生態学の最前線に焦点を当て,特に生物多様性と植物の生理生態に関する研究を紹介する.
このシンポジウムをとおして,林冠生態学の現状と課題を整理し,フィールドに基づく知見を共有することで,林冠が秘める生態系の魅力をより多くの人々に伝えたいと考えている.そして,本分野の未来を切り拓く新たな視点と共に,みなさんとともに議論を深め,林冠生態学の未来像を描いていきたい.
コメンテーター 市栄 智明(高知大学)
[S15-1]
林冠生態学から「林」を除くと何が見えるか
Redefining "canopy": from forest-oriented to structure-based ecology
[S15-2]
ボルネオ熱帯雨林の樹上性植物は, 林冠部ハビタットにどれほど依存しているのか?
To what extent do arboreal plants depend on canopy habitats in a Bornean tropical rainforest?
[S15-3]
林冠を構成するフタバガキ科サラノキ連植物の種多様化と移動分散プセス
Molecular phylogenetic analyses reveal the diversification and dispersal processes of the tribe Shoreae (Dipterocarpaceae)
[S15-4]
半島マレーシア熱帯低地林における高木種の生理生態学的特性
Ecophysiological characteristics of tall tree species in tropical lowland forests of Peninsular Malaysia
[S15-5]
日本の亜熱帯林と温帯林における甲虫群集の垂直分布
Vertical stratification of beetle assemblages in subtropical and temperate forests of Japan