| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W05  3月16日 16:00-17:30 Room A

日本から発信する島嶼生物学6_島から本土への再移入【O】
Island Biology from Japan 6 -Reverse Dispersal from Islands to the Mainland【O】

阿部晴恵(新潟大学佐渡自然共生科学センター), 水澤玲子(福島大学人間発達文化学類), 安藤温子(国立環境研究所生物多様性領域), 平岩将良(近畿大学農学部)
Harue ABE(Niigata Univ.), Leiko MIZUSAWA(Fukushima Univ.), Haruko ANDO(National Institute for Environmental Studies), Masayoshi HIRAIWA(Kindai Univ.)

島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象である。近年、島嶼の生物に関する全球規模の情報の共有が進み、世界の様々な島嶼域を対象とした比較研究が盛んになっている。日本においても、これまで伊豆諸島や小笠原諸島、琉球列島を中心に多くの優れた島嶼生物学的研究が行われてきた。また、日本が島国である以上、離島に限らず日本列島で行われている生態・進化生物学的研究は、すべて島嶼生物学的研究として捉えることも可能である。しかし、現在の世界の島嶼生物学の中で、必ずしも日本発の研究が相応に認知されているとは言えない。そのような状況の中、2026年には島嶼生物学の国際会議であるIsland biologyが日本で開催されることが決定した。この会議は日本の研究を世界の島嶼生物学分野の研究コミュニティに発信し、日本発の研究の存在感を高める良い機会となることが期待される。
本自由集会のシリーズでは、以上のような視点から、日本の島々で行われてきた生態学・系統地理学・進化生物学的研究が、世界の島嶼生物学の中で果たしうる役割を再考・展望することを目的とする。今回は「日本から発信する島嶼生物学」シリーズの第六弾として、「島から本土への再移入」をテーマとする。かつて島嶼は進化の行き止まりと見なされていたが、分子系統解析の発展に伴い、島で進化した種が島から本土へ再(逆)移入する事例が様々な系統で確認されている。島は単なる進化の実験場ではなく、大陸への種の供給源としても機能しうる可能性がある。本集会では、植物、水生昆虫、純淡水魚、鳥類について、日本の離島から本土もしくは日本列島から大陸への再(逆)移入事例を紹介し、日本列島が周辺地域の生物多様性の形成に与える影響について議論する。

[W05-1]
島から本土への再移入(趣旨説明):世界の動向と日本の事例 *阿部晴恵(新潟大学), 安藤温子(国立環境研究所), 岡本卓(京都大学), 平岩将良(近畿大学), 水澤玲子(福島大学)
Reverse dispersal from islands to the mainland (Purpose statement): Global trends and Japanese case studies *Harue ABE(Niigata Univ.), Haruko ANDO(NIES), Taku OKAMOTO(Kyoto Univ.), Masayoshi HIRAIWA(Kinki Univ.), Leiko MIZUSAWA(Fukushima Univ.)

[W05-2]
日本列島から分布を広げた高山植物 *池田啓(東京大・総合文化)
Northward migration of alpine plants from Japan *Hajime IKEDA(GSAS, UTokyo)

[W05-3]
遺伝子解析から紐解く水生昆虫昆虫・純淡水魚類の逆分散 back dispersal 現象 *東城幸治(信州大学)
Back dispersal phenomenon of some aquatic insects and a freshwater fish revealed by genetic analyses *Koji TOJO(Shinshu Univ.)

[W05-4]
日本列島から大陸に再移入されたと思われる意外な鳥たち *西海功(国立科博), 楢橋真理環(九大・地球社会)
Unexpected birds likely reverse-colonized from the Japanese archipelago to the continent *Isao NISHIUMI(NMNS), Maria NARAHASHI(Kyushu Univ.)


日本生態学会