| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W08  3月16日 16:00-17:30 Room G

帰ってきたMAFES:バイオチャー散布による森林での炭素隔離と生態系応答【O】
Revival of MAFES: Carbon sequestration by biochar application and ecosystem responses in forest ecosystems【O】

吉竹晋平(早稲田大学), 近藤美由紀(国立環境研究所)
Shinpei YOSHITAKE(Waseda Univ.), Miyuki KONDO(NIES)

バイオマスを酸素制限下で熱分解(炭化)して得られるバイオチャー(バイオ炭とも。Biochar)は、古くから土壌改良や農地での作物生産性の向上に用いられてきた。気候変動が問題となって以降は、バイオチャーが微生物による分解を受けにくい難分解性であることによる炭素隔離機能に注目が集まり、低コストな大気からのCO2除去(Carbon Dioxide Removal, CDR)技術の1つとして有望視されるようになった。そして、2019年のIPCC改良ガイドラインやJクレジットなどの国内外の炭素貯留量算定の枠組みの対象となったことにより、特に農地を中心にバイオチャーの使用は拡大している。

一方、森林は面積的にも大きく、重要な炭素吸収源でもあるが、森林におけるバイオチャーの施用例は少なく、生態系の構成要素や物質循環が散布されたバイオチャーに対してどのように応答するのかについてはよくわかっていない。我々の研究グループは、落葉広葉樹二次林にバイオチャーを散布し、生態系の構成要素や物質循環の変化を10年近くに渡って調べてきた。この集会では、これらの成果を紹介するとともに、バイオチャーを使用した炭素隔離や生態系機能の維持・向上について議論する。

なお、この集会はかつて自由集会・企画集会として開催されていた「Matter Flow and Ecosystems」の流れをくむものであり、聴衆のみなさまとざっくばらんに意見交換したい。

[W08-1]
農業における二酸化炭素除去としてのバイオチャー *岸本(莫)文紅(農研機構・農環研)
Biochar as a Carbon Dioxide Removal Solution in Agriculture: Potential and Role in Achieving Carbon Neutrality *Ayaka Wenhong KISHIMOTO-MO(NARO-NIAES)

[W08-2]
落葉広葉樹二次林を対象としたバイオチャー施用実験 *吉竹晋平(早稲田大), 友常満利(玉川大・農・環境農)
Biochar application experiment in the secondary deciduous broad-leaved forest *Shinpei YOSHITAKE(Waseda Univ.), Mitsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa Univ. Agr-Env.)

[W08-3]
バイオチャーが森林の炭素循環に与える影響 *大塚俊之(岐阜大), 近藤美由紀(国立環境研究所)
Impact of biochar application on forest carbon cycle *Toshiyuki OHTSUKA(Gifu Univ.), Miyuki KONDO(NIES)

[W08-4]
バイオチャーが森林土壌に与える影響 *藤嶽暢英(神戸大), 飯村康夫(滋賀県立大)
Impact of biochar application on forest soils *Nobuhide FUJITAKE(Kobe Univ.), Yasuo IIMURA(Univ. Shiga Pref.)

[W08-5]
玉川学園におけるバイオチャーを用いた環境教育 *友常満利, 関川清広(玉川大・農・環境農)
Environmental education using biochar at Tamagawa Academy *Mitsutoshi TOMOTSUNE, Seikoh SEKIKAWA(Tamagawa Univ. Agr-Env.)


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