| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W10  3月17日 14:00-15:30 Room F

パネル討論:生態学者はネイチャーポジティブに何ができる?~科学と社会のギャップ~【O】
Panel Discussion: What Can Ecologists Do for Nature Positive? ~The Gap between Science and Society~【O】

伊藤公一(同志社大学), 松岡俊将(京都大学), 杉山賢子(京都大学)
Koichi ITO(Doshisha Univ.), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto Univ.), Yoriko SUGIYAMA(Kyoto Univ.)

SDGsへの理解、ネイチャーポジティブの広がりとともに、社会の姿勢はより積極的かつ具体的な自然保護・自然再興への貢献を求めるものへと転換しつつある。実際、行政や企業は自然回復への取組み自体を投資対象とみなし、積極的な活動を促す仕組みや枠組みの整備が進んでいる。

しかし、我々生態学者はそうした社会の「需要」に対して、うまく答えられているのだろうか? 我々の研究・知見は「何が望ましい自然か」「自然再興には具体的にどうすればいいか」「行政や企業にどんな取り組みをしてほしいか」に十分答えられるのだろうか? 心のどこかで「現場の対応や社会実装は保全に関わる生態学者の問題で、自分には関係ない」と思っていないだろうか?

本集会は、そんな社会のネイチャーポジティブをめぐる動きの中で生まれた「モヤモヤした気持ち」を語り合う場である。ナチュラリストから環境DNA、理論的アプローチまで幅広い視点で研究に取り組む三人の若手研究者、企業の立場、行政寄りの立場に身を置く二人を招き、それぞれの経験や立場を踏まえながらパネルティスカッション形式で議論する。会場からの意見も取り上げつつ、社会が生態学へ求める「需要」と我々生態学者が提示できる「科学」の間のギャップ、そしてそれを乗り越えるために必要なことについて、議論を深めることを目指す。

=司会=
伊藤公一(同志社大学)
杉山賢子(京都大学)

=パネラー=
松岡俊将(京都大学)
 芦生の森で地域・企業との協働を始めた悩める群集生態学者
藤田博昭(京都大学)
 群集動態予測や種間相互作用ネットワーク解明に挑む群集情報解析屋
望月昂(東京大学)
 未知なる送粉系を目指すジャーニー系植物屋
阪口瀬理奈((一財)静岡経済研究所)
 生態学を2年かじりシンクタンクへ。もっと生態学視点を社会へ!
原田充(パナソニックホールディングス)
 2年前から業務で環境事業に関わり始めた元材料開発者


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