| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
自由集会 W13 3月17日 16:00-17:30 Room F
企画概要
ニホンジカやイノシシなど生息数や分布が拡大している鳥獣を対象にした特定鳥獣保護管理計画制度が設けられてから約30年が経過した。生息モニタリングに基づく科学的な鳥獣管理が各地で定着しているが、経済被害および生活問題は依然として深刻である。「相手を知る」をキーワードに、鳥獣の生態解明は著しく進展したが、相手を知ることだけで、鳥獣管理は成功するのだろうか?社会とのあつれき軽減のためには、鳥獣の増加・拡大を阻止し(捕獲)、我々の陣地を守る(侵入防止)を行う必要がある。対策技術も進んだとはいえ、厳しい気候・インフラ環境下にある自然界で自己増殖する動物を制圧し侵入を阻むことは、多大に時間と労力のかかることだ。直接的に利益につながるわけではない鳥獣対策を背負い続けるのは誰なのか?この30年間で、日本の人口トレンドは変わり、地域の社会構造は変化した。私たちは相手を知るだけでなく、「己を知る」必要があるのではないだろうか?
本集会では、北海道・東北における野生動物管理を事例に、管理目標や進め方に対する実社会との「ギャップ」を紹介する。コメンテーターからは野生動物管理に対するフレーム作りに対する意見をいただき、生態系だけでなく社会という複雑系も相手にする必要性や、町づくりや都市計画とのつながりに触れながら、鳥獣管理のあり方(フレーム)を再考する機会とする。
講演1:動物管理と被害管理のギャップーエゾシカ管理の事例から(北海道大学 上野真由美)
講演2:「縮む社会」で求められる野生動物管理:研究と現場のギャップを埋めるために(山形大学 江成広斗)
コメント1:環境ガバナンスにおける問題設定のフレーミングについて(静岡大学 富田涼都)
コメント2:保護地域管理や都市計画の視点から見る鳥獣管理(北海道大学 愛甲哲也)
総合討論(ファシリテーター:北海道立総合研究機構 稲富佳洋)
[W13-1]
動物管理と被害管理のギャップーエゾシカ管理の事例から
The Gap in Management for Agricultural Damage and Animal Population - A Case Study of Sika Deer Management in Hokkaido
[W13-2]
「縮む社会」で求められる野生動物管理:研究と現場のギャップを埋めるために
Bridging research-implementation gaps observed in wildlife management practices under depopulating societies of Japan