| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W14  3月17日 16:00-17:30 Room G

蛇紋岩生態学の最前線:ストレス環境での植物の適応とレジリエンスの機構を探る【O】
Advances in Serpentine Ecology: Exploring the Mechanisms of Plant Adaptation and Resilience in Harsh Environments【O】

阪口翔太(京都大学院・人環), 水野隆文(三重大学院生資)
Shota SAKAGUCHI(Kyoto University), Takafumi MIZUNO(Mie University)

蛇紋岩土壌は地球内部のマントルに由来する超苦鉄質土壌の一種であり、生物に有害な重金属を多量に含むほか、マクロ栄養素のバランスが悪く、物理的に崩壊しやすい性質をもつ。こうした過酷な土壌環境は、生物に対して強い選択圧をかけ、個体レベルの適応から生態系過程に至るまで様々なスケールで影響を及ぼしている。蛇紋岩地帯が各地に点在する日本列島は、約70分類群もの蛇紋岩植物を有するなど、蛇紋岩生態学研究に適したフィールドに恵まれている。これまで、植生学や植物分類学等の分野で蛇紋岩植物に関する記載的研究が蓄積されてきたが、植物の環境適応やレジリエンスのメカニズム面では未解明の部分が多く残されている。そこで本集会では、蛇紋岩生態系を植物生態学におけるモデルとしてメカニズム研究を進めている4名の研究者を迎え、最新の研究成果を紹介していただく。各発表では、植物における重金属耐性の生理生態メカニズム、植物の種子発芽および定着における菌類との相互作用、蛇紋岩地における植生-土壌フィードバックと栄養塩循環、山腹崩壊後の森林植生の回復メカニズムに焦点が当てられている。これらの発表を通じて参加者間で蛇紋岩生態学の現状を共有し、今後の蛇紋岩生態学研究の発展と振興に向けて議論を深める場にしたい。

[W14-1]
植物のニッケル過剰症メカニズムと蛇紋岩植生形成への関与 ―植物栄養学の視点から― *水野隆文(三重大学院生資)
Mechanisms of nickel toxicity in plants and contribution to the evolution of serpentine plants – from the perspective of plant nutrition – *Takafumi MIZUNO(Mie University)

[W14-2]
湿地の仇は蛇紋岩の友 ―発芽時における植物の蛇紋岩適応への内生菌の作用― *西野貴子(大阪公大院理)
The enemy in the wetland is the ally in serpentine soil: Effects of endophytic fungi on serpentine adaptation in plants during germination *Takako NISHINO(Osaka Metropolitan University)

[W14-3]
蛇紋岩地における落葉広葉樹林の成立維持機構の解明 ―栄養塩循環の観点から― *中村亮介(京都大学ASAFAS)
Establishment and maintenance mechanisms of deciduous broadleaf forest on serpentine soil from nutrient cycling perspective *Ryosuke NAKAMURA(Kyoto University)

[W14-4]
蛇紋岩地帯で発生した山腹崩壊跡地の窒素固定植物を利用した森林修復 *小林真(北海道大学FSC)
Forest restoration on serpentine soil after landslide by using nitrogen fixing plants *Makoto KOBAYASHI(Hokkaido University)


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