| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W20  3月17日 18:00-19:30 Room G

生態的種分化を問いなおす【B】【O】
Ecological speciation revisited【B】【O】

京極大助(兵庫県立人と自然の博物館), 今田弓女(京都大学)
Daisuke KYOGOKU(Museum of Nature and Human Activities), Yume IMADA(Kyoto Univ.)

生態的種分化(生態適応による副次的な生殖隔離の進化)は共存を可能にする生態的な分化と生殖隔離の進化を同時に説明する魅力的な概念である。生態的種分化の研究はこの30年で大きく進み、その重要性が様々な系で明らかになった。しかし、ミクロ進化スケールでの生態的種分化が示す種分化率はふつう極めて高く、マクロ進化スケールで見られる多様化率から大きく乖離する。すなわち新たに生じる種のほとんどはすぐに絶滅していると考えられる(ephemeral species)。したがって系統の存続性を決定する要因の理解が、種多様性のパタンを理解するためには重要である。また、接合後隔離の進化速度がこれまで考えられていたよりも速いこと、生態的な分化をともなわない種分化(非生態的種分化)が広く見られることも指摘されている。非生態的種分化のもとでは、二次的接触時の共存がどのように進化するのかという問題が再燃する。本自由集会ではこうした種分化研究の最近の動向を確認したうえで、いくつかのケーススタディを紹介し、既存データの再解釈や今後の研究の方向性について議論する。

[W20-1]
日本列島におけるコバネガの異所的分布と食性転換を伴わない多様化 *Yume IMADA(Kyoto Univ.)
Allopatric distribution and diversification without dietary shift in the micropterigid moth of the Japanese Archipelago *Yume IMADA(Kyoto Univ.)

[W20-2]
種分化を駆動する進化機構と、その進化機構が近縁2種の共存にもたらす影響 *森田慶一(総合研究大学院大学)
How can evolutionary mechanisms of speciation affect coexistence? *Keiichi MORITA(SOKENDAI)

[W20-3]
Reverse magic effect: underappreciated contributions of pleiotropy to the lineage persistence during speciation *Daisuke KYOGOKU(Mus Nat Hum Act), Yume IMADA(Kyoto Univ.)

[W20-4]
生殖隔離の進化速度と個体群動態 *山口諒(北海道大学)
The evolutionary rate of reproductive isolation and population dynamics *Ryo YAMAGUCHI(Hokkaido Univ.)


日本生態学会