| 要旨トップ | ESJ72 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
自由集会 W25 3月18日 16:00-17:30 Room A
半自然草地には,人為的攪乱によって個体群を維持してきた草原生植物が数多く生息している。しかし,国内の半自然草地の面積は過去数十年間の社会構造の変化と人口減少により急速に減少し,草原生植物も個体数の減少と絶滅が危惧されている。
草原生植物について,これまでに数多くの研究が行われており,様々な知見が得られている。例えば,管理放棄後の年数経過に伴い,草原生植物の個体群サイズは縮小し,種数も減少することが確認されている。また土地改変によって造成された農地では,伝統的に管理されてきた農地に生育する草原生植物の一部(例えば,リンドウやウツボグサ)が欠落することが報告されている。
草原生植物を保全するためには,その生育状況の把握と種多様性の定量的評価,管理放棄に伴う減少プロセスの解明が重要である。しかし,草原生植物の定義は研究者間で異なっており,どの種あるいはどのような生態的特性を持つ種を草原生植物とするのか定まっていない。そこで本集会では,西日本の草原生植物について定義づけとリスト作成の試みに関する研究を紹介する。また,管理放棄に伴う草原生植物の減少プロセスについて,最新の研究成果を紹介する。総合討論では,今後の草原生植物研究の講演者・コメンテーター・ご聴講の皆さまで議論したい。
コメンテーター(予定):丑丸 敦史(神戸大学),横川 昌史(大阪市立自然史博物館)
後援:植生学会
[W25-1]
西日本のイネ科草本の優占する草原を主たる生育環境とする草原生植物リストの試案
A tentative list of grassland plants species in Western Japan
[W25-2]
半自然草地の管理放棄によって生育地が減少する草原生植物の生態的特性
Ecological traits of traditionally managed grassland plants that are losing their habitat due to the abandonment of semi-natural grassland.
[W25-3]
過去の森林利用が半自然草原のスキー場における植物多様性に及ぼす負の遺産効果
Negative legacy effects of past forest use on plant diversity in semi-natural grasslands on ski slopes