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一般講演 P2-053
タイの北西部に位置するタクフラックス観測基地(Tak Flux Observation Station, TFOS: 16o56’N, 99o25’E, 130m asl)で,2003年から2006年まで,渦相関法(Eddy Correlation Method)によるCO2フラックスの観測を行った.この地域は明瞭なアジアモンスーン域で,年平均気温と年間降水量はそれぞれ29oCと1200mmであり,降水量の90%以上が雨季である5月から10月に掛けて降る.吹走距離(Fetch)内の植生は主にTectona, Shorea, Dipterocarpusが優占する落葉広葉樹林(50%)と畑や水田が点在する耕作地(40%)等に構成されており,葉面積指数は0から5まで時空間的に変化する.観測された年間の純生態系生産力(Net Ecosystem Productivity, NEP)は平均91.7 gCm-2y-1であり,日の最大と最低NEPは,それぞれ雨季の4.2 gCm-2d-1と乾季の-2.0 gCm-2d-1であった.この結果は,対象熱帯季節林域では雨季に主に光合成が行われており,乾季には変わりに呼吸量が大きいことを示している.Falgeら(2002)のFLUXNET研究結果における落葉広葉樹林と比較すると,低い年間平均NEPであり,この結果は低い総一次生産力(Gross Primary Production, GPP)と高い生態系呼吸(Ecosystem Respiration, RE)に起因している.