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自由集会 W11

陸水湿地の環境構造と生物多様性

企画者:西野麻知子

 古事記や日本書紀に「豊葦原瑞穂の国」と記されたように、水辺にヨシが豊かに生い茂る風景は、かつての日本の原風景であった。しかし日本の湿地面積は、明治・大正に比べて70%以上も消失した。また外来動植物の侵入等により、ヨシ群落などの陸水湿地に生息する在来生物の多くは、種の存続が危機的状況にある。

 特に、日本最大の湖であり、また日本で最も豊かな淡水生物相を有する琵琶湖では、固有種をはじめ、多くの動植物が生存を脅かされる状況にある。一方、日本各地で自然再生の試みが実施されているが、そのための手法は確立しているとは言い難い。

 この自由集会では、湿地再生の鍵となる生物多様性と環境構造との関係について、琵琶湖周辺の湿地を対象に、ヨシの遺伝的多様性、「原野(氾濫原)の植物」の分布を規定している要因、水鳥類による植物種子の運搬機能、在来魚と外来魚のブラックバス、ブルーギルとの繁殖環境の違いなどから解析を行い、在来の生物多様性を豊かにするための湿地再生のあり方について議論したい。

日本生態学会