| 要旨トップ | ESJ54 自由集会等一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


自由集会 W13

群集生態学における適応:進化・可塑性と生物群集の相互関係

企画者:吉田丈人(東京大)・大串隆之(京都大)・近藤倫生(龍谷大)

生物は、生物間の相互作用や環境の変化に対応して、可塑的な反応や迅速な小進化により、表現型をダイナミックに変化させる。この短い時間スケールでの適応は、反対に、生物間相互作用や生物の環境への関わり方・生息地の構造を変え、これによって生物群集の構造や動態にまで波及する影響を及ぼす。また、長い時間スケールで生じる大進化のメカニズムは、本質的には小進化のメカニズムと同一である。小進化による形質変化が長時間にわたって継続して新しい種を生み出し、やがて多様な生物種を生み出す。この大進化による生物多様性の創出が、現在の生物群集を形づくる基盤になっている。このように、現在見られる生物群集は様々な時間スケールでみられる「適応」の所産であると考えることができる。生物の適応は、生物群集・個体群・表現型・遺伝子といった異なる生物学的階層をつなげる掛け橋となる。

以上のような生物群集と適応の相互関係を様々な視点から捉えることにより、その相互関係の全体像について共通意識を形成したい。集会の構成として、各視点からの話題提供と、それに続く総合議論を予定している。

日本生態学会