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自由集会 W15

エンドユーザからみたDNAバーコーデイング

企画者:長谷川雅美(東邦大学理学部) 、伊藤元巳(東大広域システム)、梨本眞、松木吏弓(電力中央研究所)

地球上の全ての生物を、遺伝子の「バーコード」で識別しようというプロジェクトが進行している。DNAバーコーディングとは,DNAの特定領域の塩基配列をデータベース化し,生物の検索・同定ツールとして用いることを目的とした手法である.DNAバーコード情報と既存の分類学的情報を組み合わせることで,迅速かつ正確な同定が可能になる.その主な活用分野は,生態学や応用昆虫学を始めとして多岐に渡り,各分野における生物種の正確な同定に対するニーズと技術発展に伴う塩基配列決定の簡便化が背景にある.国際的にもCBOLと呼ばれる国際イニシアティブが組織され,DNAバーコーディングの世界標準を発展させるための活動が行われている.その構想では,既知の生物分類群について分子バーコードインベントリーを作成し,生物多様性評価と分類群同定の基盤とすることが掲げられている.

 昨年は、日本における先駆的な取り組みと世界の趨勢について情報交換を行ったが、今回は,日本におけるDNAバーコーディングの現状の概説と、さまざまな生態学研究に対してのインパクト・可能性・意義や生態学研究コミュニティーからのDNAバーコーディングに対する要望などについて議論を行う。具体的には、昆虫類や海産生物のDNAデータベース作成に基づく幼生同定の取り組みを取り上げ、形態による種同定の難しい生活史ステージを対象とした研究の進捗状況、技術的進展、課題について情報交換を行いたい。

日本生態学会