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自由集会 W17
生物の空間分布がどのように決まっているのかを明らかにすることは生態学の重要なテーマの一つであり、対象生物の保全や管理を行う際にも欠くことができない。そのため近年では生物の空間分布データを扱う機会はますます増加しているものの、多くの研究では空間分布と環境要因との関係を記載するにとどまっているのが現状である。
しかし、観察された生物の空間分布パターンには、そのパターンを生み出した行動、移動・分散、生物間相互作用といった生態学的プロセスに関する情報が“潜んで”いる可能性がある。したがって、うまく潜んでいる情報を顕在化させることができれば、野外では直接測定することが難しい生態学的プロセスの影響を明らかにできるかもしれない。そのためには、空間分布データのサンプリング、空間分布データからのパターンの抽出、プロセスを組み込んだモデリング、モデルの予測と観察されたパターンとの比較といった一連の手続きが必要となる。
本集会では、野外で苦労して得た空間分布データをできるだけ有効に活用するための分析例を、演者らが主に大学院で行った研究を事例に、自らの試行錯誤の過程も踏まえてできるだけわかりやすく紹介したい。
コメンテーター:
宮下 直(東大・農学生命)