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自由集会 W22

博物館の生態学3 〜標本のチカラ〜

企画者:石田 惣(大阪市立自然史博物館)・ 三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館)・鈴木まほろ(岩手県立博物館)

博物館に収蔵されている標本は、生態現象を記録したタイムカプセルである。この記録をいかに読み解き、生態系の理解へと発展させるのか。最新の研究成果においても、標本の威力が再認識され、その方法論が再構築されつつある。その主な理由は、化学分析技術および情報処理技術の著しい向上と普及、過去の研究成果の蓄積と流通が挙げられる。今回の自由集会では、これら最新の知見をレビューする(企画者・鈴木)と同時に、具体的な事例を紹介する。1つ目は、過去100年間の琵琶湖産魚類標本から安定同位体を測定することで過去の生態系を復元する試み(京大生態研・奥田昇ら)について、2つ目は全国の博物館標本記録を集計し、沿岸域における外来生物の侵入動態を把握する試み(三重大・木村妙子ら)について取り上げる。これらの報告を受けて、コメンテーター(大学関係者1名を予定)から標本の活用とその成果の蓄積・流通について意見を伺い、会場参加者を交えて標本活用の有効性と今後の展開について議論する。本集会のディスカッションは博物館の標本収集・整理事業へフィードバックされることが期待され、博物館と生態学をつなぐ実践的な取り組みでもある。

日本生態学会