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ESJ56 一般講演(口頭発表) E1-05

絶滅危惧植物レブンアツモリソウの個体群動態

*河原孝行(森林総研北海道),山下直子(森林総研関西),北村系子,永光輝義(森林総研北海道)


レブンアツモリソウCypripedium macranthos var. rebunenseは環境省レッドデータブックに絶滅危惧IB類に指定され、種の保存法で特定国内希少野生動植物種に指定されているラン科の多年草である。また、レブンアツモリソウ保護増殖分科会が設定され保護増殖事業が進行中であるが、現状を維持することで野生個体群が保続可能か不明である。

礼文島北部で大集団を作る鉄府保護地区(2002年から)及び南部で小集団となった礼文滝(2005年から)に1x1mコドラートを30及び8個設置し、生死、生活史段階(実生・非開花・開花)最大葉長を記録した。これらのデータをもとに生活史段階の推移確率を算出した。

鉄府個体群では調査開始当初実生や小型非開花個体が多く、L字型のサイズ分布を示したが、見かけの死亡率(地上に出現しなかった個体の割合)が年々高まる一方、実生・小型個体の発生数が激減し、2007年には個体数が半減した。個体群増殖率は2002-2003年では1.026と増加傾向を示したが、以降は0.700〜0.979と減少傾向が続いている。特に2006年は実生の発生が見られず、個体群増殖率も最低であった。これは前年の夏季の降水量の少なさと関連しているかもしれない。

礼文滝個体群では、調査当初より鉄府保護区に比べて個体数が少ない。また、実生がなく、サイズ分布も大型のものが多い構造に偏っている。個体群増殖率は2005〜2007年にかけて、0.596及び0684と非常に低かった。

長寿命の植物なのでまれな大規模攪乱が更新に大きく貢献している可能性はあるが、南部の個体数は少なく、サイズ構造も老齢化がみられるため、移植などの保全対策が検討されるべきである。


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