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ESJ56 一般講演(口頭発表) H2-02

中国雲南省菜陽河自然保護区におけるカバノキ二次林の構造と動態

*石田弘明(兵庫県立大),黒田有寿茂(兵庫県立大),武田義明(神戸大),田村和也((株)里と水辺研),岩切康二((株)岩切環境科学研),武素功(昆明植物研),岩槻邦男(人と自然の博物館)


中国雲南省の照葉樹林帯(山地帯)にはカバノキ科の樹木が優占する二次林(カバノキ科林)が分布している。しかし、その構造や動態に関する詳しい調査はほとんど行われていない。本研究では、当地域のカバノキ科林の構造と動態を明らかにするために、雲南省の南部に位置する菜陽河自然保護区で調査を行った。当保護区にはBetula alnoidesの優占するカバノキ科林が比較的まとまった面積で数多く分布している。様々な発達段階のB. alnoides林に合計10の調査区(面積200〜1100m2)を設定し、DBH3cm以上の全生立木(幹)について樹高と胸高周囲を測定した。B. alnoidesについてはDBH3cm未満の幹を含むすべての幹の樹高を測定した。全調査幹数は1385本で、このうちB. alnoidesの幹数は478本であった。B. alnoidesの樹高の範囲は4.5m〜40mで、実生はまったくみられなかった。B. alnoidesの樹高階分布と胸高直径階分布は地形や発達段階に関わらずいずれの調査区も一山型の分布を示していた。これらの結果は、B. alnoidesの耐陰性が非常に低く閉鎖林冠下では更新できないことを示している。このような性質は日本に分布するカバノキ科樹木の性質とよく似ているが、日本では高さ40mに達するカバノキ科林はほとんどみられない。土地利用に関する聞き取り調査の結果、調査地のB. alnoides林の林齢は最大でも40年程度であることが判明した。B. alnoidesの最大樹高は40mであったことから、調査地では高さ40mのカバノキ科林が40年程度で成立するということになる。


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