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ESJ56 一般講演(口頭発表) I2-01

ミヤコグサの窒素獲得における窒素固定寄与率のエコタイプ間変異

*中田 望(首都大・院・生命),大曽根 陽子(森林総研),可知 直毅(首都大・院・生命)


日本列島を中心に多様な生育環境下に広く自然分布するミヤコグサ野生系統間には、個体サイズや窒素獲得能に遺伝的変異がある。窒素固定植物であるミヤコグサの窒素獲得量および個体サイズは、根粒菌接種処理により増加する。これまでの研究において、ミヤコグサのバイオマス生産や窒素獲得に対する根粒菌接種の効果には系統間変異があることが示された。これらの結果から、窒素獲得における窒素固定寄与率には系統間変異があることが予想された。

本研究は、ミヤコグサ野生系統の窒素獲得における窒素固定の寄与を定量的に評価することを目的とし、ミヤコグサ13野生系統を人工気象室内の一定で好適な環境条件下で栽培し、栄養成長段階の窒素獲得における窒素固定寄与率(Ndfa%)を定量した。窒素固定寄与率は、15N希釈法によって求めた。窒素固定機能は土壌中の硝酸体窒素量に影響され、特に土壌窒素濃度の増加に伴い窒素固定活性は低下することが示されている。そこで本研究では、硝酸濃度の異なる3段階の液肥を用い、土壌窒素濃度間で見られる各系統の窒素獲得特性の差異も同時に評価した。

ミヤコグサ野生系統の窒素獲得における窒素固定寄与率には有意な系統間変異が見られた。窒素固定寄与率は土壌窒素濃度増加に伴い低下したが、低下の程度は系統間で異なった。個体あたりの窒素獲得量が少ない系統ほど、土壌硝酸濃度が高い条件下でも窒素固定寄与率が低下しない傾向がみられた。窒素固定寄与率は、個体あたりの窒素獲得量(低土壌窒素濃度条件)あるいは葉の形態的特性(高土壌窒素濃度条件)と関連し、各土壌窒素濃度条件下における個体サイズはそれぞれ上記各形質と強く関連した。

ミヤコグサ野生系統は、生育地における土壌窒素量に応じて窒素獲得方法を選択し、それに対応した個体サイズを実現しているのかもしれない。


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