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ESJ56 一般講演(口頭発表) I2-05

暖温帯稚樹の受光体制の種間比較:現存量成長と翌年の受光量のつながり

*宮沢良行,大槻恭一(九大演習林)


林床の弱光環境では光合成速度および現存量成長が低いため、各器官の生産が制限される。そのため、葉の生産をすることで、落葉にともなう葉面積および受光量の減少を補填することが深刻な問題となる。受光量の減少は、翌年の成長の減少にとどまらず、さらに将来の葉面積や受光量の減少、という負の連鎖をもたらす。そのため、弱光環境で樹木が生き残る上で、受光量を現状水準以上に維持する必要があると考えられる。受光量を現状維持するには、1.弱光での成長速度(RGR)を高くする、2.葉面積や受光量の現状維持に必要な補償RGR(RGRc)を低くする、ことが重要であり、これらの種間差は、弱光での生存率など、耐陰性の種間差を生み出す生理生態学的な原因の一つとして考えられる。しかし、RGRの種間差とその生理学的な背景についての知見とは対照的に、RGRcについての研究は乏しいのが実状である。そこで本研究は、暖温帯林に共存する常緑広葉樹と落葉樹を用いて、RGRおよび受光量のRGRcを算出し、個葉−個体レベルの生理・形態特性や受光体制の違いに注目して、種間で比較した。2006年に各樹種の稚樹(0.2-1m)を選び、2007-2008年にかけて、林冠の情報や稚樹の個葉特性、樹形のデータを定期的に記録した。得られたデータを基に、樹形解析ソフト(Yplant)を用いて、各時期の日受光量を算出した。日受光量の年増加−RGR関係を基に、日受光量のRGRcを算出し、種間差比較をおこなった。本発表では、以下の疑問に対して回答する予定である;a. 個葉生理の大きく異なる常緑広葉樹と落葉樹では、RGRcには明確な種間差があるのか?b.RGRcを規定する生理・形態的特性は何か?そのうち、RGRcの種間差を生み出している主要な特性は何か?


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