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ESJ56 一般講演(口頭発表) K1-04

空間最適化を用いたオニヒトデの駆除管理

*管家千誠,松田裕之(横浜国大・院・環境情報学府)


石西礁湖では、オニヒトデ(Acanthaster planci)によるサンゴ類の食害が懸念されている。現在、オニヒトデの個体数とサンゴ被度の広域観測が環境省により実施され、観測結果を評価した順応的管理が行われようとしている(石西礁湖マスタープラン)。また、環境省による駆除事業や地元のダイビング協会・組合によるボランティア駆除活動が行われている。しかし、駆除努力量(ダイバー×タンク)を地域ごとに配分しても現在の事業規模では目標値を達成する事が不可能になりつつある(H19国立公園等民間活用特定自然環境保全活動事業報告書)。「守るべき・守りたい・守れる」海域を選定し、オニヒトデを駆除しなければいけない。その場合、どこにどれくらい駆除努力量を投入すればよいのかという駆除努力量の配分が重要となる。本研究では、石西礁湖における海中公園をモデル地域とし、駆除努力量配分シナリオおよび最適配分の検討を行った。

サンゴとオニヒトデの個体群動態を表すために数理モデルを構築した。空間スケールは、石西礁湖の海域の広さ(縦横20×30km)に合わせ、1つのグリッドの大きさを1人のダイバーがタンク3本で作業できる最小の範囲として7.5haと仮定した。サンゴの成長パラメータは、オニヒトデが好んで捕食すると言われているミドリイシを引用した(Okubo et al 2005)CPUE(1努力量あたりの駆除数)はオニヒトデの個体数密度に依存すると仮定し、個体数密度とCPUEの関係が上に凸のパターンと密度に依存しない場合に分けた。また、オニヒトデのグリッド間の移動率も保護区内のサンゴ保全を考えるには重要なパラメータである。オニヒトデの軌跡を追った実験(沖縄コンベンションビューロ1999)から、オニヒトデの拡散係数を求め個体の移動率を推定した。発表では保護区とその周りの駆除努力量の最適配分比率を議論する。


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