ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-049
*目黒伸一,鈴木伸一,林寿則 (国際生態学センター)
前回前々回の発表に引き続き多雪環境下に生育する樹木の力学的特性について調査研究を行った。多雪地に生育する植物は継続的に生育・生存するため耐寒適応のほかに、雪の重量による力学的負荷に対する適応が必要であると考えられる。したがって、本研究では多雪地における樹木の力学的特性を中心とした物性値について調べることを目的とした。
調査地はブナ、シラビソ、オオシラビソが生育している群馬県武尊山とした。調査地はブナなど落葉広葉樹で構成される森林帯からシラビソ、オオシラビソで林冠が構成される常緑針葉樹林帯とした。生育する樹木の幹や枝の物理的特性を調べるため、樹木を切り出し、力学的試験を行った。試験に供された樹種はブナ、オオバクロモジ、シラビソ、オオシラビソである。これらの樹種についてその強度、ひずみ、比重、含水率、ひずみエネルギーなどを計測した。
実験の結果、多くの場合において枝および幹の破壊強さおよび比重は樹木の部位にかかわらず同一樹木内で一定の値を示したが、ひずみや数種の含水率については枝サイズ依存性を示した。これらの樹種の力学的特徴が生育における戦略と結びついていることが示唆された。