ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-093
*紺野 康夫,顧 令爽 (帯広畜産大学 畜産生命科学)
パイプモデル(Shinozaki et al.1964)は、植物体を一定量の葉重と一定量の断面積をもつ単位パイプの集合体であると理解している。しかし、単位パイプは説明のために想定されたものである。そこでバイケイソウについて「植物体が実体のある単位パイプから成り立っている」と考えて良いか検討した。
バイケイソウの(非開花)地上茎は複数の葉と1本の「茎」より成り立っているように見える。しかし、実際は、1枚の葉とそれにつらなる筒状の葉柄からなるユニット(以下パイプ)が、8-13本ほど同心円状に集まったものである。「茎」は各パイプへ分解可能であるので、バイケイソウは「植物体が実体のあるパイプから成り立っている」か、検討可能な植物といえる。その検討結果は以下のとおりである。
1. パイプについている葉重は同じではなく、パイプ間で3倍の違いがあった。
2. 断面重/葉重は、内側のパイプ5-6本でパイプ間に違いがなく、さらに外側では外側にいくほど大きくなった。
3. 個別パイプは自立できない(倒伏する)。しかし、その集合体である「茎」は自立する。
以上より、「茎」を構成するパイプは単位パイプそのものとは言えなかった。したがって、「実体のあるパイプから成り立っている」とはいえない。機能的には、外側のパイプは力学的支持により多く貢献しているようである。さらに、自立できないパイプでも、集合すれば自立できることが分かった。パイプの集合効果については、フキについても報告する。