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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-132

モウソウチク林とマダケ林の分布と拡大に対する地形の影響―滋賀県近江八幡市八幡山における事例―

鈴木重雄(立命館大・文)


西日本を中心に竹林の拡大が急速に進行しており,その侵入域の地形の特徴を明らかにすることは,植生管理計画を立案する上で重要である.しかし,江戸期に移入されたモウソウチクと,平安期には日本に存在したマダケでは,稈高や稈密度が違い,テングス病の発症状況も異なることから,同一のものとして扱うことは難しい.そのため,両種を竹林と一括するのではなく,それぞれの分布と拡大の特徴を明らかにする必要がある.そこで,本研究では,両種の林が混在する滋賀県近江八幡市八幡山で,2時期の空中写真判読とDEMを用いた地形解析,道路や建物以外には均一の速度で拡大するとしたシミュレーションとの比較により,両種の分布と拡大の地形との関係を検討した.

対象とした646 haのうち,1985年と2006年のモウソウチク林面積は,20.7 haと24.5 ha,マダケ林の面積は,11.6haと17.9 haであった.両時期とも竹林は,東・南向きの斜面,緩傾斜地(<15°),湿潤な地形(TWI≧2.5)に分布していた.モウソウチク林がマダケ林よりも,東・南向き斜面,急傾斜地(≧15°),乾燥した地形(TWI<2.5)に分布していた.竹林は,緩傾斜で湿潤な平地と山地の境界部に連続する崖錐や扇状地上を中心に分布し,特にモウソウチクが,その周囲の急傾斜で乾燥した地形にも侵出していた.

この期間の竹林拡大は,南・西向き斜面,緩傾斜地,乾燥した地形でより進行していた.モウソウチク林は,マダケ林よりも東・南向き斜面,急傾斜地,乾燥した地形での拡大していたものの,マダケ林においても急傾斜地や乾燥した地形で拡大がみられたことから,元々の分布の中心や両種の拡大スピードの違いが影響していると考えられる.


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