[0] トップ | [1] 目次

ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-133

コシダ草原から森林への時空間的変遷

*河口剛輝,山田俊弘,奥田敏統(広島大・院・総科)


コシダは崩壊地や山火事跡地などの強度の攪乱を受けた地域で林床全体を覆う密な藪を形成する性質を持つシダ植物である。コシダの藪は長期にわたって優占し樹木定着を阻害する事が知られているが、コシダ草原における長期の森林再生過程についてはあまり研究されていない。西南日本の瀬戸内海西部に位置する宮島は古代より文化的宗教的な理由により比較的自然が保護されてきたが、頻発する山火事やマツ枯れ対策として施行された枯損木の搬出によって広範囲の森林がコシダ草原となった。そのような地域の森林再生過程を把握する事は今後の森林管理を考える上でも必要である。よって、本研究では宮島の人為攪乱によって形成されたコシダ草原における森林再生過程を明らかにし、それに影響する環境要因を検証した。

1948,1965,1974,1990年の空中写真を解析し以下の手順でコシダ草原と森林の動態を分析した。1)教師つき分類により土地被覆を裸地,森林,コシダ草原の3区分に分類し土地被覆図を作成した。2)各年代の土地被覆図を重ね合わせる事で各年代間の土地被覆変化を解析した。3)数値標高モデルから各地点の斜面方位・斜面勾配を算出し、また土地被覆図から各地点の森林からの距離を算出し、それらと各土地被覆図と各土地被覆変化図を重ね合わせる事でコシダ草原や森林の動態に影響する環境要因を分析した。

解析の結果、大規模な攪乱が無い限りは森林からコシダ草原に移行する割合は低い事が分かった。また斜面方位や斜面勾配と言った地形要素とそれらの土地被覆変化は相関がなく、森林からの距離に応じて森林再生の割合が増加する事が示唆された。


[0] トップ | [1] 目次