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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-148

兵庫県におけるオオサンショウウオの分布推定モデルを用いた生息地分断化の評価

*田口勇輝(京大院地環・兵庫県博),三橋弘宗(兵庫県大・兵庫県博),栃本武良(日本ハンザキ研究所),夏原由博(京大院地環)


人里近くの河川では、取水堰や堰堤、ダムなどの横断工作物による生息地の分断化によって、オオサンショウウオの移動が阻害されることが多い。本種は、繁殖場所を探索するために平均数百m(なかには数km)遡上することが知られており、生息地が分断化されると繁殖が妨げられることになる。したがって、ある河川区間が潜在的な生息適地であっても、周辺域の横断工作物の密度が高い場合には、既に局所的な絶滅が生じて分布上の空白域となっている可能性もある。実際に、兵庫県内のオオサンショウウオに関する過去と近年の分布を比較すると、近年では発見情報がない場所も存在する。しかし、分布の時系列変化を検討するだけでは、その変化要因やプロセスを把握することは困難である。分断化による局所絶滅の可能性を傍証するためには、潜在的な分布好適地にも関わらず近年では分布が未確認な場所と、依然として確認可能な場所の両群を説明する要因として、横断工作物の密度が寄与していることを示さねばならない。こうした解析を行うためには、広域的かつ網羅的な自然史資料および詳細な環境情報が不可欠となる。そこで本研究では、県内における過去と近年のオオサンショウウオ分布情報データベースと全県を網羅する横断工作物など物理環境条件の空間情報を用いて分布の存続可否に及ぼす要因解析を行い、分断化による絶滅可能性が高い区間を特定し、個体群維持のために緊急改善が必要な区間の抽出を行った。


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