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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-149

同所性コウモリ類3種のハビタット選択性と行動圏サイズ −選択性の特異性に着目して−

赤坂卓美(北大院農), 赤坂宗光(国環研), 中村太士(北大院農)


人為的な土地開発は、野生生物の生息地の改変や消失を伴い生物多様性を減少させる。生息地の改変や消失は、直接的に個体群に影響するほか、ニッチが重複する種間で、利用するハビタットの競合という間接的な影響も生じさせる。特に近縁種間では、ニッチが重複する可能性は高い。このような生物多様性および個体群への直接的・間接的な影響は、土地改変が著しい農地景観ではより深刻であると考えられる。そこで、農地景観において多種共存のメカニズムを理解し、広域で生物多様性を保全するためには、同所的に生息する近縁種間でのハビタット利用の違いを景観スケールで把握することが必要である。

生物が利用する場所は,複数のスケールで作用する環境要因に影響されうる。そのため、適切な保全計画を提供するために、対象とする生物のハビタット選択に対するスケール効果を把握することが求められる。

コウモリ類は、全哺乳類種数のおよそ1/3を占める種数を有する分類群であり、北海道の種多様性に対しても貢献度が非常に高い。また、本分類群は非常に優れた移動能力を持ち、環境の変化に対し比較的敏感に反応するため、指標生物としても有効である。

本研究ではコウモリ類に注目し、北海道十勝地方の農地地帯において同所的に存在するドーベントンコウモリ(Myotis daubentonii)、カグヤコウモリ(Myotis frater)、ホオヒゲコウモリ(Myotis gracilis)の3種を対象に、行動圏、および餌場の両スケールを用いて各種の選択性の違いを明らかにする。また、餌場の選択性に関しても、複数のスケールで解析を行い、スケールによる変化を把握するとともに、保全および管理のために最も有効なスケールについて検討する。


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