ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA1-153
*橋本啓史,仲摩恵里,山本葉子,高橋妹花,新妻靖章(名城大農),松浦俊也(森林総研),大畑孝二(日本野鳥の会サンクチュアリ室),横山則一(ネイチャーリサーチしらとり),高橋伸夫,石川均(愛知生物調査会),東淳樹(岩手大農)
サシバは里山を代表する猛禽類の1種で、近年個体数を減らしており、環境省の絶滅危惧I類に指定されている。関東地方などでは本種の生息適地モデルがいくつか作成されているが、地形条件の異なる東海地方ではまだモデルが作成されていない。
本研究では、2008年の繁殖期に愛知県西三河地方の丘陵地においてサシバの生息分布調査を行い、その結果得られた12か所の営巣地点と46か所の不在地点の情報をもちいてロジスティック回帰モデルによる生息適地モデルを構築した。独立変数として、バッファー内に含まれる土地被覆別面積(環境省5万分の1植生図を森林、水田、草地、市街地、農地、水域、その他に再分類)、森林と水田の隣接長、森林と農地の隣接長、斜面下端の長さ、標高の標準偏差を用い、ステップワイズ法による変数選択を行った。その結果、半径150mのバッファー内に含まれる森林面積、水田面積、森林と水田の隣接長をいずれも正の説明変数、標高の標準偏差を負の説明変数とするモデルがもっとも当てはまりの良いサシバの生息適地モデルとして選ばれ、西三河地方においても森林と水田が入り組んだ景観の重要性が確認された。