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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-436

土壌中の物理的障害物のサイズがホソムギとナガハグサ個体の成長に及ぼす影響

中村亮二, 可知直毅, 鈴木準一郎(首都大・理工)


土壌中の物理的障害物は、根系伸長の妨害や空間の細分化、土壌含水量の変化などを通じて植物の成長に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、「物理的障害物は根系成長と土壌含水量を抑制し、個体成長を減少させる」を仮説とし、その検証実験を行なった。

3要因乱塊法(13反復)に則り、2通りの施肥処理の下、1個体のホソムギまたはナガハグサを、土壌(200ml)と障害物であるガラスビーズ(200ml)(大粒処理:直径4cm、小粒処理:直径0.5cm、粒なし処理:ビーズなし)を含む鉢で5週間栽培した。その後、個体の乾燥重量(g)および鉢内の土壌体積あたりの含水量(g/ml)を比較した。

粒なし処理の平均個体重は、大粒および小粒処理と同じか大きかった。大粒処理と小粒処理の平均個体重は富栄養下ではほぼ同じだったが、貧栄養下では大粒処理の個体重は小粒処理の6割程度だった。この傾向は、ナガハグサより個体重が大きかったホソムギで比較的顕著だった。また個体重と概ね同様の結果が地下部重量でも認められた。一方、地上部重量に対する地下部重量の割合(R/S比)は、種間では差が検出されず、障害物条件間では小粒処理でやや高く、粒なし処理で低くなる傾向があった。大粒処理のR/S比はホソムギでは小粒処理と同程度で、ナガハグサでは粒なし処理と同じか小さかった。鉢の含水量はナガハグサよりもホソムギで概ね高かった。また含水量は小粒処理で最小、粒なし処理で最大、大粒処理でそれらの中間となった。

以上より、土壌中の物理的障害物により個体重は低下し、土壌含水量も減少することが示唆された。また、これらの影響は障害物のサイズや栄養塩量に依存して変化しうることも示された。


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