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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-524

推定値をデータのように使ってデータ解析するとき

粕谷英一(九大・理・生物)


生態学では、複数のデータを使って得られた推定値を1つのデータ点のようにみて、さらに統計的な分析を加えることは普通に行われて来た。推定値としては、個体群や生息地での平均や中央値あるいは生存率や性比などといった比較的単純に計算されるものから、各種の指数や最尤推定値など推定の手順がもっと込み入ったものまでいろいろなものが使われている。推定値には推定の誤差がつきものである。推定誤差は、推定に使ったデータの数などさまざまな要因の影響を受ける。推定値のもつ推定誤差を無視して、データ点と同じように分析すると誤った結論を導くことになりやすい。直線回帰のattenuation(説明変数側の推定誤差により直線の傾きがゆるく推定されてしまう)は誤った結論を得てしまう例である。

生態学は多くの個体を対象とするから、個体群を初めとした個体の集まりについて1つの推定値をえて、次には推定値の間の関係などを検討する機会は多い。その際に、推定誤差の情報をとりこんで分析する必要がある。まず、推定値の分散や標準誤差といった推定の正確さを表す量が得られている場合について検討する。このような方法は、推定値の場合だけでなく、不確実なデータを使って分析する場合にも応用できる。


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