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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-577

ナガカメネジレバネにおける異性寄主への寄生様式

中瀬悠太, 加藤真(京大・人環)


一般に、寄生者ム宿主系において宿主体サイズの大型化による寄生者の適応度の上昇はオスよりもメスでより大きな効果が期待できる。メス親が宿主を探し産卵する単寄生性の寄生蜂では、小さなホストにオスを、大きなホストにメスを産み分けることで子への投資を最大化することが知られている。一方、微小な三爪幼虫が自力で宿主を探す寄生者においては、多数の幼虫のごく一部が偶然に宿主にたどり着くことで寄生が成立すると考えられており、積極的に宿主選択を行っているとは考えられていなかった。ホソコバネナガカメムシに寄生しているナガカメネジレバネでは、宿主のカメムシはメスがオスより大きいが、寄生者のネジレバネのオスは大きなメスのカメムシに、メスは小さなオスのカメムシに寄生していることが明らかになった。これは、三爪幼虫が自力で宿主を探索する寄生者であるネジレバネが宿主の性別を区別し、雌雄間で宿主の選好性が異なることを示した初の報告であると同時に、メスの寄生者が積極的に小さい宿主を選択する非常に珍しい例でもある。この系ではネジレバネの寄生率は高く、過寄生も頻繁に起きていた。ネジレバネは幼虫時に宿主体内で他個体を殺すことがないため、寄生が重複した場合は体内で資源や場所をめぐる取り合い競争が起き、体サイズの小型化が各個体に起こりやすい。実際、ネジレバネのオス2個体では競争の影響は見られないが、メス2個体では成体サイズが小型化した。宿主の性比がオスに偏っているため、本来宿主として好まれるメス宿主ではネジレバネの寄生率が上昇しやすい。そのため、寄生の重複による悪影響を受けやすいネジレバネのメスは次善の策として、小さいながらも寄生率の低いオスを選んでいると推測された。


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