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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-579

集群性アミ類ヒメオオメアミの遺伝構造

*阪本真吾(筑波大・生命環境), 井鷺裕司, 兼子伸吾(京大・農), 青木優和(筑波大・生命環境)


アミ類はエビ形をした小型甲殻類で, 海洋沿岸域における動物プランクトンの主要分類群である. 多くの種は近底層に生息し, 単一種あるいは複数種からなる集群 (swarm) を形成することが知られている.雌は脱皮直後のみ交尾可能となり, それ以外の期間は交尾することができないことから, アミ類は集群形成によって繁殖効率の増加させていると考えられてきた. しかし実際に集群内で繁殖が行われているかどうかについてはまだ検証されておらず, また集群内の血縁関係も明らかでない. 本研究はアミ類の集群の社会構造を明らかにすることを目的に, 集群の遺伝構造解析を行うものである. 材料として用いたヒメオオメアミ (Idiomysis japonica) の集群サイズは静岡県下田市大浦湾において 7.0 ± 8.9 個体 (平均 ± S.D.) , 最大 74 個体で, 一般に数百〜数万個体の大規模な集群を形成するアミ類において例外的に小規模である. この点において本種は集群の遺伝構造解析に好適な材料である. 解析のための遺伝マーカーとして, ヒメオオメアミのマイクロサテライト (SSR) マーカーを新たに開発した. SSR マーカーの開発には, ゲノム中の複合マイクロサテライト (Compound SSR) 領域を標的とする簡便法を採用した. 本講演では, 今回開発した SSR マーカーを用いて, 2007年6月に採集した静岡県下田市大浦湾個体群のサンプルについて集群の遺伝構造解析を行った結果を報告する.


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