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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-587

浦幌地域におけるヒグマの餌資源量の変動と食性

*早船琢磨,金井知行,山崎聡子,南山依里,八木議大(北大ヒグマ研究グループ)


雑食性のエゾヒグマUrsus arctos yesoensis(以下、ヒグマ)は、秋季において主に果実類を利用するが、その中でも特にミズナラの堅果は主要な採食物であると先行研究により指摘されている。本研究では、2004年から2008年までの5年間、北海道東部の浦幌町において、秋季のミズナラ堅果の資源量およびヒグマの採食物を調査し、その関係を検討した。

ミズナラ堅果の資源量を調査するために、シードトラップ(開口面積0.25m2、評価木9本各2基)を設置し、落果数を計測した。また、調査地域の踏査を行い、ヒグマの糞を回収し、ポイント枠法を用いた分析から採食物種の出現頻度とその容量割合を調べた。

その結果、ミズナラの落果数は2005、2006、2007年には1個/m2以下と極めて少なかったのに対し、2004年と2008年の落果数は多く、それぞれ28個/m2と16.7個/ m2であった。2004、2008年のヒグマの採食物は落果数と一致して、ミズナラ堅果に大きく偏っていた。その一方で、落果数の少なかった年にヒグマは様々な採食物を利用しており、特定の採食物に偏る傾向は見られず、さらに、年毎に採食物種の出現頻度や容量割合が異なっていた。これらの結果から、ミズナラ堅果の資源量はヒグマの採食物に強い影響を与えていると考えられた。また、ミズナラ堅果が少ない年毎にヒグマの採食物が異なっていたことは、ミズナラ堅果以外の餌資源量も年次変動しており、単純にそれを反映した結果であると推察された。


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