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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-602

茨城県宍塚大池における在来種クサガメと外来種ミシシッピアカミミガメの生息状況

*川口健一(筑波大・生物資源),門脇正史(筑波大・生命環境),竹田千尋(筑波大・生物資源)


クサガメは日本で最も一般的に見られるカメの一種でありながらその生態学的研究は少なく、保全に有用なさらなる情報が必要である。また、クサガメと似た環境に生息するミシシッピアカミミガメ(以下アカミミガメ)は全国的に高頻度で目撃されるようになった。アカミミガメの増加や分布拡大により在来カメ類及びその餌となる生物への悪影響が懸念されるにもかかわらず、アカミミガメの生息密度や在来種への影響はあまり研究されていない。そこで、両種の生息状況の現状を明らかにし、在来種の保全や外来種の影響評価の基礎となる知見を蓄積するために研究を行った。

宍塚大池にて2008年4〜10月にかけて標識再捕法を用いて調査を行い、捕獲個体の個体識別、雌雄判別、体サイズと年齢の計測を行った。全調査期間を通してクサガメ138個体(のべ204個体)、アカミミガメ9個体(のべ11個体)を捕獲した。クサガメのメスはオスより背甲長が有意に大きかった。しかし、齢構成の分布形に雌雄間で有意な差は見られなかった。また、雌雄ともに背甲長68mm未満の体サイズの小さい個体や3歳未満の幼若個体が捕獲されなかった。

アカミミガメの捕獲個体数が少なかったことから、宍塚大池ではそれほどの多くの個体は生息していないと考えられた。クサガメはメスの方が長命であると考えられているが、齢構成の分布形に雌雄で有意差が見られなかったことから、本研究では雌雄で寿命や死亡率に差があるとは示唆されなかった。クサガメは体サイズの小さい個体・幼若個体が捕獲されなかったことから、繁殖がうまく行われていない、あるいは体サイズの小さい個体・幼若個体は体サイズの大きい個体・成体とは生息場所が異なる可能性が考えられた。


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