ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-620
古川拓哉, 藤原一繪(横国大・環情), S. Kiboi, P.B.C. Mutiso (Univ. of Nairobi)
アフリカの人口増加率は他地域より高く, 都市化も近年急速に進行している. ケニアの首都ナイロビも例外ではなく, 人口は年6%で増加している(UNHABITAT 2008). その人口の約7割はスラムに住んでおり(UNHABITAT 2008), 同市内のキベラスラムはアフリカ最大規模(推計100万人)とされる. スラムには森林局管轄の保護林が隣接しており, スラムの人々による違法伐採や薪炭収集などによる荒廃が懸念される. 同森林は熱帯乾燥林の貴重な残存林であり(Kigomo et al. 1991), 適切な保護・管理が急務である. そこで本研究では, 現在人為的攪乱がどの程度植生に影響を及ぼしているかを調査した. 具体的には, 1)攪乱が空間的にどの程度及んでいるか, 2)攪乱傾度に沿って指標種群がどのように変化するか, 3)不可逆的変化の兆候が見られるかを検証した.
調査は林内の小道沿い一定間隔にライントランセクトを設置し, 見える範囲の出現種(低木以下)の記録と全天写真の撮影を行なった. 全天写真は主に攪乱(バイオマス除去)の指標として用いた. 指標種群の解析にはクラスター分析と指標種解析を用いた. また, 攪乱傾度に沿って種組成が急激に変化するか解析し, 不可逆的変化の兆候を検証した.
結果, 攪乱はスラムから約2km程度まで森林内部に進行していることが明らかとなった. それとほぼ対応してスラム近くでは侵略的外来種を含む攪乱指標種群が出現した. また, 攪乱傾度に沿って種組成が急激に変化したことから, 不可逆的植生改変の兆候が見られた.