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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PA2-624

ニセアカシア河畔林を伐採した後の更新・成長過程

*黒河内寛之,當山啓介,宝月岱造(東大院・農)


ニセアカシア(Robinia psedoacacia)は、北米南東部原産のマメ科落葉高木である。本種は、強光利用型の先駆樹種で、窒素固定を行う根粒菌と共生し、初期成長が著しく早いという特徴がある。日本にも明治以降導入され、肥料木・砂防樹木・薪炭材・庭木・街路樹・密源植物として利用されてきた。

しかし、今日ではニセアカシアは、その旺盛な繁殖力(損傷部からの萌芽繁殖、根からの萌芽繁殖、種子繁殖)により、河川敷において侵略的に分布域を広げている。本種の分布拡大は、従来の生態系のバランスを崩し生物多様性を低下させることに加え、出水時の流木化やゴミ不法投棄の誘発といった河川管理上の問題も引き起こしている。

これらの問題が生じる背景には、河川敷におけるニセアカシア個体群の植物生態の現状が正確に把握されておらず、適切な管理手法がとられていないことがあげられる。そのため、現在あるニセアカシア河畔林を効果的に利用・管理するために必要な、伐採後の更新・成長過程の基礎データ収集を本研究の目的とした。

本研究では、千曲川流域に定着していたニセアカシア成熟林に調査区(上田大橋上流部:30m×60m・30m×30mの2か所、大望橋上流部:30m×30mの1か所)を設置した。上田大橋では20年ほど前に大規模なニセアカシア林の皆伐がおこなわれていた。まず、各調査区において、全ニセアカシア個体の立木位置、樹齢、胸高直径(5cm未満の個体は樹高)の基礎データを得た。更に、全ニセアカシア個体のDNAを抽出し、既に開発されているニセアカシアに特異的なマイクロサテライトマーカーによる多型解析を行っており、ニセアカシア個体群のジェネット分布の様子が明らかとなる予定である。


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