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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC1-346

多雪地冷温帯林におけるヤチネズミ・アカネズミ・ヒメネズミの林分利用特性

*松本 幸二 (新潟大学 農) 箕口 秀夫 (新潟大学 自然科学系)


多雪地冷温帯林には、ヤチネズミ、アカネズミ、ヒメネズミが同所的に生息している。しかし、3種は異なる外部形態や行動特性を有し、各種の出現場所や出現数とそのパターンに違いがあることが報告されている。そのため、林分スケールで見ると3種の野ネズミは異所的に生息していると考えられる。そこで、本研究ではこれら3種の野ネズミの林分利用特性を明らかにする。

調査は、山形県小国町温身平の冷温帯林で行った。本調査地は最深積雪深が3.5mに達する多雪地である。調査地にはブナ林の他、立地に応じてヤチダモ、サワグルミ、ドロノキがそれぞれ優占する林分がみられる。これら4林分に雪崩植生下部に発達している矮性低木林を加えた、5林分に調査プロットを設置した。調査プロットは、各林分に5カ所、計25ヵ所設置した。各調査プロットには野ネズミ生け捕りワナを5個ずつ、十字に10m間隔で設置し、連続4晩の記号放逐法で調査を行った。環境調査は餌資源としての種子落下量、林分構造、下層植生、および土壌について調査を行った。調査は2008年の7月から11月まで行った。

3種の野ネズミの全調査期間におけるブナ林、ヤチダモ林、サワグルミ林、ドロノキ林、および矮性低木林での延べ捕獲数は、それぞれ、ヤチネズミで1、10、13、12、5個体、アカネズミで47、65、51、54、52個体、ヒメネズミで27、23、16、25、22個体であった。ヤチネズミの捕獲数に、林分間で有意な差が見られた(p<0.05 )。ヤチネズミについて、環境調査の結果を用いて林分利用特性を検討した。その結果、ヤチネズミは下層植生が発達、もしくは大径の岩礫が多い環境を選好していると考えられた。また、アカネズミ、ヒメネズミは年間捕獲数において林分間に差は見られなかったが、季節によって林分間の捕獲数に差が認められた。


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