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ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC1-400

地理的分布境界におけるウシガエルのメタ個体群構造

*武田勇人,宮下直(東大・農・生物多様性)


種の分布を決定している要因を明らかにすることは、生態学における主要なテーマの一つとなっている。その中で、分布境界に着目した研究は、温暖化による種の分布変動、外来種の影響評価、絶滅危惧種の保全などに関連して、重要度が増している。従来の研究では、分布の境界を形成する要因として局所でのプロセスに焦点を当てていたが、近年、分布境界におけるメタ個体群動態を扱った研究が多く行われ、分布境界の形成要因としてメタ個体群理論からの説明が試みられている。すなわち、分布境界付近ではメタ個体群構造をとりやすく、メタ個体群の存続に関わるパッチ密度・パッチ間の移出入率・局所絶滅率の勾配によって分布境界が生じると示唆されている。しかしながら、実証研究はまだ少ない。

本研究では、岩手県一関市のため池に分布するウシガエルを対象として、分布境界付近における分布決定要因を明らかにすることを目的とした。分布決定要因として、水草被度、水生動物、水質といった局所環境および周辺生息地とのコネクティビティといったランドスケープレベルの要因の影響を検討した。

その結果、ため池におけるウシガエルの在・不在には分布境界に向かった勾配がみられ、さらに池間でのコネクティビティが効いていることが示された。


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