ESJ56 一般講演(ポスター発表) PC1-404
由田太一(兵庫県立大環境人間),中桐斉之(兵庫県立大環境人間),吉村仁(静岡大創造院),泰中啓一(静岡大創造院)
環境の変化によって起こる絶滅について、生存可能な最小の個体群密度という観点からモデルを用いた解析を行った。モデルの生物には雌雄の区別のない雌雄同体種とし、二次元の格子モデルを用いて、環境が変化する際にどのような個体群動態、空間パターンを示すのかシミュレーションによって解析を行った。今回は1種系であるコンタクトプロセスにおいて、出生プロセスに変更を加えて発展させた1種系局所相互作用モデルを用いることとした。具体的には 1つの2次元の格子を用意し、一定の初期密度で生物を配置し、死亡と出生のプロセスを繰り返した。死亡のプロセスではランダムに1点選び、その点に生物が存在するならば一定の確率でその生物が死亡して空き地にする。出生プロセスでは、選んだ1点が空き地の場合、その点に隣接する4点に生物が2個体以上存在するとき一定の確率で生物が増殖する。この際、4点に存在する生物の数に比例して増殖率を決定することとした。以上のプロセスを繰り返し、シミュレーションを行った。また、これに対して、空間の位置関係に依存せずに増殖が可能な大域相互作用モデルを導入して比較を行った。その結果、両方のモデルにおいて最小生存可能個体密度以下で絶滅するというアリー効果がみられた。また、その最小生存可能個体密度を求めることができた。しかし局所相互作用モデルでは、大域相互作用モデルと比べるとより高い密度でも絶滅が起こった。これは局所相互作用モデルが環境変化の影響をより強く受けることを示している。また同モデルでは、局所的には密度が高い状態でも絶滅が起こるという、従来のコンタクトプロセスには見られない新しい結果が得られた。